立坑の基礎知識

今回は『立坑の基礎知識』について解説します。

 はじめに

推進工法では、発進及び到達させるための「立坑」が必要となります。立坑を構築する方法として主に鋼矢板立坑ライナープレート立坑ケーシング立坑などが用いられます。

鋼矢板立坑

U形の鋼板(シートパイル)を打ち込んで山留めにする工法です。シートパイルの打ち込みには、バイブロハンマで振動で打ち込む、もしくは騒音や振動の少ない油圧で圧入する方法などがあります。

ライナープレート立坑

人力あるいはバックホウ、テレスコタイプのクラムシェルによる掘削と、人力によるライナ-プレート組立てを交互に繰り返しながら所定の深さまで掘り進めます。運搬・取り扱いが容易で狭い場所でも施工が可能です。ライナプレート立坑を採用する際には、背面地山が自立する必要があります。地下水位が掘削底面より高い場合には、背面地山を事前に薬液注入等の補助工法で改良します。

ケーシング立坑

ケーシング立坑とは、鋼製またはコンクリート製の円筒形ケーシングを地中に圧入しながら内部を掘削し立坑を構築する工法です。崩壊性地盤でも薬液注入等の補助工法を用いずに掘削することができます。近年、小口径推進工事が増加するに従い、発進・到達・中間立坑の構築に施工速度が速く、工期の短縮が図れるケーシング立坑が増加しています。
ケーシング立坑  鋼製ケーシング方式  揺動圧入式
 回転圧入式
 コンクリート製ブロック式  沈下式
 回転圧入式

鋼製ケーシング方式

鋼製ケーシングを内部掘削をしながら地中に圧入することにより立坑を構築します。

コンクリート製ブロック式

1.沈下式
コンクリート製の円筒形ケーシング内を掘削しながら、自重および圧入装置により地中に沈下させる工法です。そのまま立坑およびマンホールとすることができます。

 

2.回転圧入式
コンクリート製の円筒形ケーシングを回転圧入しながら、内部の掘削を行う工法です。そのまま立坑およびマンホールとすることができます。

 

以上、今回は立坑の基礎知識についてご紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。

 

参考文献)
「推進工法体系Ⅱ計画設計・施工管理・基礎知識編2007年版」(公社)日本下水道管渠推進技術協会(2007年4月)
「月間推進技術Vol.27 №5」(公社)日本推進技術協会(2013年5月)
「月間推進技術Vol.34 №12」(公社)日本推進技術協会(2020年12月)
「月間推進技術Vol.35 №2」(公社)日本推進技術協会(2021年2月)
原口秀昭 著「ゼロからはじめる建築の「施工」入門」 株式会社彰国社(2013年3月)

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