今回は『泥土圧シールド添加剤の基礎知識』について解説します。
目次
泥土に必要な性質
泥土圧シールド工法は、掘進機のチャンバー内に掘削土砂の粘性を高めるための添加剤を送り込み、カッターで削った土砂と混ぜると同時に、片方をセグメントに、もう片方を隔壁にあてたジャッキによってチャンバー内に圧力をかけて、切羽の安定を保持しながら掘削していく工法です。泥土には切羽の安定を保持する役割があり、次のような性質が求められます。
❶塑性流動性を持つこと
カッターチャンバー内の土砂(泥土)は加圧された状態のまま、カッターチャンバー内を移動しスクリューコンベアから排出されるため、加圧下でも容易に移動・変形できる塑性流動性が必要とされます。
❷難透水性と圧力保持機能を持つこと
カッターチャンバー内の土砂(泥土)は、切羽の水圧および土圧に対抗するため、難透水性と圧力保持機能を持つことが不可欠です。一般的に難透水性を持たせるための添加剤材として、ベントナイト、粘土等を混入します。
切羽の安定を保持するには、❶・❷の相反する性質を考慮し、泥土を常に良好な状態に維持することが重要です。
添加剤について
掘削土砂が塑性流動性を有するためには、掘削対象土にシルト、粘土などの微細粒子(75μm以下)が30%以上含まれていることが必要です。したがって、微細粒子の含有率が30%未満のシルト混じり砂、細砂、粗砂、砂礫等の土質で添加剤を注入します。
添加剤に必要な性質
添加剤には、水に希釈されにくいこと、チャンバーおよび切羽面に十分浸透可能であることなどが求められます。
添加剤の材料
ベントナイト、粘土、ポリマー、気泡等が使用されています。
添加剤の選定と管理ポイント
立坑等の現地発生土による事前配合試験が望ましいが、立坑間等の現地発生土の採取が困難な場合は、近傍のボーリング調査結果を基に調整した模擬土を活用し、事前配合試験を実施することが有効です。
泥土が硬い場合
掘削土の不均一化、切羽圧力の不均一化が懸念され、カッターが回転不能になる恐れがあります。
<対処方法>
添加剤の注入率を増やします。
泥土が軟らかい場合
スクリューコンベアの噴発が懸念され、それによる切羽圧の低下、切羽の不安定化、地盤沈下の恐れがあります。
<対処方法>
添加剤の注入率を減らします。
泥土の品質管理
安定した品質を保持するとともに、土質や掘進中の変化に対応するために常に泥土管理を行います。判断項目は以下の通りです。
ミニスランプ試験(JIS規格 A 1171)
<判断目安> 緩やかに形を変え、崩壊しないこと 材料等の分離がないこと |
<ミニスランプ試験器> |
テーブルフロー試験(JIS規格 R 5201)
<判断目安> フローの広がりに偏りがないこと 材料等が分離せず広がること |
<テーブルフロー試験器> |
目視・手触り
<判断目安>
①分離抵抗性 ②粘性 ③流動性 ④触感
評 価 基 準 | |||
ミニスランプ | テーブルフロー | 目視・手触り | |
0.5~7.5cm | 105~160mm | 容易に混錬できる・分離しない |
以上、今回は泥土圧シールド添加材の基礎知識についてご紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。