今回は、推進工事における製品活用例をご紹介します。
目次
<泥水・土圧・泥濃式>長距離、砂礫層などの推力上昇対策に
現在の推進工事は、砂礫層や急曲線、長距離推進など難工事が多く推進力対策の重要性は増し、発進から到達まで低推進力で施工することが求められています。そこで推力上昇対策に最適な滑材をご紹介します。
ゲル状滑材「こんにゃく充填剤」
一般的な滑材は、液体のため時間とともにヌメリが逸失し、残った粒は脱水され縮んで小さくなります。その結果、ボイドは地山で埋まり推進管と地山が接触し、せり込みを起こし推進力が上昇してしまいます。
<一般滑材の推力上昇メカニズム>
一方、『こんにゃく充填剤』はヌメリ成分を内包した弾性体で構成され、単に減摩効果が高いだけでなく、内部のヌメリ成分を安定的に放出し続けるDDS(ドラックデリバリーシステム)機能を備え、長期間にわたって減摩効果を維持します。また、この弾性体が地山への逸失、地下水による希釈を抑え、帯水層はもちろんのこと、無水層においても脱水されることなくテールボイドを維持し、低推力施工を可能とします。
<こんにゃく充填剤の推進力低下メカニズム>
塗布型滑材「コンクリ-ト管マニキュア剤Ⅱ」
砂礫層を施工する際、急激に推進力が上昇することがありますが、これは砂礫が推進管表面に噛み込むことで引き起こると考えられています。そこで推進管表面に『コンクリ-ト管マニキュア剤Ⅱ』を直接塗布することで、浸透、硬化し、管表面が塩ビ管並みの滑らかさに改質され、噛み込みを抑えることができます。
※本剤は滑材と併用してご使用ください。
<コンクリ-ト管マニキュア剤Ⅱ使用時>
併用して使用することで更なる推力低減効果があります。
・推進工法やシールド工法、ケーソン工法において躯体と地山の摩擦を低減。帯水層から無水層まで土質を選ばず摩擦力を抑えるゲル状滑材「こんにゃく充填剤300/700」
・推進工法やケーソン工法のコンクリート躯体表面に塗布して使用、滑材と併用することで躯体と地山の摩擦を低減する滑材「コンクリ-ト管マニキュア剤Ⅱ」
<泥濃式>広いテールボイドの確実な充填に
固結型滑材「こんにゃく可塑剤」
一般的にテールボイドが広い泥濃式推進工法では、一次滑材として可塑性の固結型滑材が使用されています。従来の水ガラス系固結型滑材は、テールボイド注入後20~60秒後に固結しますが、その間は水に近い低粘性で、地下水やテールボイド内に滞留している泥水に希釈されることで、固結が不十分になる恐れがあります。
<従来品施工イメージ>
そこで、従来品の代わりに『こんにゃく可塑剤』をお勧めします。本剤は完全にゲル化させた状態で吐出・注入するため、テールボイド全体を確実に充填できます。この高弾性ゲルは、時間の経過とともにさらに強固になります。
<こんにゃく可塑剤施工イメージ>
・完全にゲル化した状態で注入し、確実にテールボイドを充填する可塑性の固結型滑材「こんにゃく可塑剤」
<泥水式>標準作泥剤の使用量削減に
一体型泥水剤「こんにゃくマッド泥水」
標準作泥材の約1/20の使用量で、初期泥水および補給泥水が本剤のみで作泥できます。泥水中の砂分の圧密分離が少なくスムーズな排土が可能です。また、低比重のため送泥ポンプに負担がかからず、長距離圧送が可能です。
・標準作泥剤の20分の1の使用量で初期泥水が作れる一体型泥水剤「こんにゃくマッド泥水」
<泥土圧式>崩壊性地盤掘削時に
添加材「スーパー加泥剤」
従来のポリマー添加材は止水性に乏しいため、ベントナイトを併用する必要があります。そこで、従来品に代わるものとして『スーパー加泥剤』をお勧めします。本剤は高い止水性を備えており、土質が変化してもそのまま安全に掘削を続けることができます。
また、本剤はベントナイトを使用しないため、使用量を大幅に削減できるほか、大量輸送や粉塵の発生もありません。
・急な土質の変化にそのまま対応できる添加材「スーパー加泥剤」
<泥土圧式>地下水を多く含み、粘着力が低い土砂地盤の噴発に
「耐塩性噴発防止剤」
泥土圧で地下水を多く含み、粘着力の低い土砂地盤を掘削する場合、泥土が分離・圧密することで止水プラグが形成されず、噴発を引き起こします。その結果、切羽圧が保持されず土砂や地下水がチャンバー内に流入し、地盤沈下を引き起こすことがあります。
<従来の問題点>
そのようなトラブルを回避するには、『耐塩性噴発防止剤』の使用が最適です。スクリューコンベアの根元に本剤を注入することで、泥土を良好な状態に改良し、止水プラグを形成することで安全な排土を可能にします。その結果、切羽圧は保持され、安心して掘削することができます。
また、塩分を含んだ地下水でも、塩分の影響を受けず、良好な止水プラグを形成し噴発を抑えます。
<耐塩性噴発防止剤使用時>
・泥土圧式推進・シールドの排土の噴発と地盤の緩みを抑制「耐塩性噴発防止剤」
<土圧・泥濃式>切羽、チャンバーなどに粘土が付着する際に
「粘土付着防止剤」
泥土圧で粘土層を掘削する際に、カッターやチャンバーに粘土が付着し、閉塞・排土不良になることがあります。そんなときには『粘土付着防止剤』を使用することで、粘土が改質し、付着を抑えてスムーズな排泥ができます。
<イメージ図>
<当社YouTubeより>
・粘土の表面を改質し付着力を低減、スムーズに排土「粘土付着防止剤」
<泥水式>細粒分の少ない崩壊性地盤掘削時に
「切羽崩壊防止剤」
細粒分の少ない崩壊性の地山を掘削する際、泥水循環を停止すると、泥水に含まれる土粒子が沈降し、チャンバー内上部の泥水比重が低下することがあります。このような状況が発生すると、地下水がチャンバー内に流入し、切羽上部の地山が緩み、崩壊の危険性が高まります。
<従来の問題点>
そこで『切羽崩壊防止剤』をカッタ停止後に、チャンバー内に注入・回転させて混合させることで、土砂の沈降を抑制し、切羽を安定させ、このような現場トラブルを防止します。
<切羽崩壊防止剤使用時>
以上、今回は推進工事における製品活用例をご紹介しました。ぜひ、各製品情報もご参照ください。
※各製品とも必ず施工前にテーブルテストを行い、適正な添加量を確認してください。